世界が終わる前に


…――何故だか、少しきつめの命令口調でそう言われてしまう始末で……。



しかし、それに思わず怯(ひる)んでしまった私は、即座に相田さんが指定した椅子に飛び乗るように座った。



それから何やら私の真後ろに立った相田さんの気配に、またもやビクッと肩が震えたが、そんな私の心情など相田さんに伝わっている訳もなく。


おもむろにワイヤレスのガスコテを鞄から取り出した相田さんが「あんた純情っぽいし、内巻きでいいよね?」なんて、かなり適当に呟かれた一言に私の中にあった疑惑は更に倍増し、それは不審へと変わった。



しかし、相田さんはそんな私の心情なんてやっぱり気にもしてないらしく、器用な手つきで私の焦げ茶色のお腹あたりまである髪を綺麗にクルクルと念入りに内巻きしていった。






程なくして、一通り私の髪を巻き終えた相田さんは、



「化粧は薄めだね。あんたみたいなのは、きっと濃いのは似合わないだろうからね」


< 33 / 202 >

この作品をシェア

pagetop