世界が終わる前に
正しくは、嫌な予感がした。
根拠なんてのはないけど、ド派手な髪色をしたやたらと目立つ“あいつら”が“今日の相手”なのかもしれないって直感的に思った。
普通とは、掛け離れた独特の異様な雰囲気を纏った危ない集団。ファミリーレストランには到底そぐわない集団。
制服なのに堂々とタバコ吸ってやがるっ!
……とか。
とにかくマナーが悪い!
……とか。
そんな事よりも……帰りたい!
めっちゃ帰りたい!
絶対に帰りたい!
今すぐにでも帰りたい!
……いや、でもまだ“あいつら”が“今日の相手”って決まったわけじゃない。
だって、他にも男子学生の集団はいる訳だし、まだ“あいつら”が本当に“今日の相手”だって決定したわけじゃ――…
「遅れちゃったぁ!ごめーん!」
…――なくない。
むしろ確実にあいつらで決定してしまったっぽい。
口々に吐き出される1オクターブ上がった、女たちの甘い声にくらりと目眩がした。