世界が終わる前に


正しくは、嫌な予感がした。


根拠なんてのはないけど、ド派手な髪色をしたやたらと目立つ“あいつら”が“今日の相手”なのかもしれないって直感的に思った。


普通とは、掛け離れた独特の異様な雰囲気を纏った危ない集団。ファミリーレストランには到底そぐわない集団。


制服なのに堂々とタバコ吸ってやがるっ!

……とか。


とにかくマナーが悪い!

……とか。



そんな事よりも……帰りたい!


めっちゃ帰りたい!
絶対に帰りたい!
今すぐにでも帰りたい!



……いや、でもまだ“あいつら”が“今日の相手”って決まったわけじゃない。


だって、他にも男子学生の集団はいる訳だし、まだ“あいつら”が本当に“今日の相手”だって決定したわけじゃ――…




「遅れちゃったぁ!ごめーん!」




…――なくない。



むしろ確実にあいつらで決定してしまったっぽい。


口々に吐き出される1オクターブ上がった、女たちの甘い声にくらりと目眩がした。


< 45 / 202 >

この作品をシェア

pagetop