世界が終わる前に
「そいつは自分の飲みたいもん取りに行っただけ。つか俺が勝手に決めたし、文句あんなら俺に言えば」
そんな何時になく饒舌な彼の冷たい台詞に、騒がしかったテーブルが一気にしんとなってしまった。
隣にいた相田さんは驚愕の表情を浮かべながら私に小声で「ちょっと、あんた何したの!」って興奮気味に言った。
彼に一刀両断された相田さんの仲間の女子は、余程ショックだったのか最早抜け殻みたいになっちゃってて、
でも、事の発端原因であるにもかかわらず、彼は肩肘を付いたままそっぽを向いていて、最早興味ないって感じだった。
思わずそんな彼のクールな横顔に「ちょっと放置プレイしてないで何とかしなさいよ!」って言いたかった。
庇うなら庇うでフォローぐらいして欲しかった。
しかし、
「あー……俺が取って来てやろうか!?」
そんな空気読み男くんの一言で自体は呆気なく収拾した。