世界が終わる前に


「なんで来たんだ?」


「……はい?」


「だから今日、なんで来たんだよ?」


「な、なんでって……」



無理矢理かなり強制的に連れて来られましたけど何か!?

拒否権なんて無かったんだよ!

ていうかやっぱり私なんか来ない方がよかったとか!?

まさか来ちゃダメだったの!?


なんて本音は言える訳もなく、何て言えばいいのかも何を説明すればいいのかもわからずに、思考はパニクるばかりで情けなくも呂律が回らなかった。



「そ、それは……」


「……」


「あの……えっと……」


「……」


「……えっと」


「……」


「……」



そして訪れてしまったまさかの沈黙に思考は更なるパニック状態に陥った。


全くの赤の他人との沈黙は好きじゃない。むしろ痛い。


けれど。最早、目の前の彼と視線すら合わす事が出来ないヘタレな私。


でも、彼のこの上ない色気と大人びた雰囲気が、そんな私を惑わす。


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