世界が終わる前に
私の家族――朝吹家は、五人家族でごくごく普通の一般的な家庭。
まあ。近年はすっかり少子高齢化社会と言われ、鍵っ子や一人っ子などが増加しつつあるこの現代社会に、三人も子供を産んだ母はかなり国に貢献した方じゃないかと思う。
両親と私以外には、三歳年上の至って普通で生真面目な兄の香介(こうすけ)。
それから二歳年上の兄と同じく真面目で、性格は明るく天真爛漫だけど、かなりの八方美人で腹の底は何を考えているか全く理解不能な姉の亜緒(あお)がいる。
そんな朝吹家の所謂、末っ子である私は、そんな堅物ばかりの生真面目家庭で育った。
元来――…末っ子というのは、何処の世界でも甘やかさてぬくぬくと育つ筈なのだが……。
私の場合は、甘やかされるどころか、むしろ三人の中でも一番厳しく育てられたと言っても過言ではない。
――まあ、それもそのはず。
というのも、他人の何倍も努力をしてやっとの所謂“不出来”な私に比べて兄と姉の二人は“出来”がよかったというだけの理由(こと)だ。