世界が終わる前に
「……は、はい。あの、宿題をしたいので……」
私を真っ直ぐに見つめたまますっかり呆けている彼を何だか気の毒に思い、私も負けじと彼を真っ直ぐに見つめたまま一応、図書館での目的を付け足してみた。
…――しかし、そんな私の出来損ないのフォローは見事、裏目に出てしまった。
「は?……シュクダイ?」
さっきよりも一層、眉に縦皺を寄せた彼からは、どうやら更なる顰蹙(ひんしゅく)を買ってしまったらしく。
彼は、その綺麗な切れ長の吊り目を見開いて、目を丸くしながら私を凝視してる。
恐らく彼の心情を察するには……意味がわからない、とでも言いたそうな表情。
何言ってんだ、コイツ……みたいな雰囲気をヒシヒシと感じる。