世界が終わる前に
もしかしてわざとなんじゃないんだろうかって思うけど、私も私でちょっと遠回しに言いすぎたかなって反省した。
「いや、あの――…」
「…――俺の事は気にしなくていい」
言いかけた私の台詞を見事に遮ってくれた彼は続けて、間髪入れず「あんたが行きたいなら、付き合ってやる」と低く呟いた。
「え?……本当にいいんですか?」
「……ああ」
きっと、彼のような人種のヒトからしたら図書館なんて選択肢はないんだろう。
……それでも『いい』と言ってくれる彼は、やっぱり優しいヒトなんだと思う。
少なくとも人間的にすごくデキてると思う。
普段あんまり男子とは関わらないけれど、男の子ってこんなにも優しいものなのかな……?
「ありがとうございます……」
「……別に」