世界が終わる前に
彼の正体、絡み始めた糸
平日の市立図書館は、利用者の人も疎らで酷く閑散としていた。
現代と少し浮き世離れした洋風な煉瓦造りでお洒落な外観は、数年前改築をはじめてから去年の春に完成したばかりの新築だ。
地味なこの街に一見派手な市立図書館は、最初こそ人気があって混雑したのも束の間で、今ではそこら辺の図書館と変わらない来館数に落ち着いている。
館内にはスーツ姿のサラリーマンや女子高生に男子学生は勿論の事、高齢者や主婦なんかもいるのを見受ければ、この市立図書館利用者の年齢層がかなり幅広い事が窺え知れる。
外観だけでなく中身も洋風な造りになっている館内。
図書館独特の匂いが何とも言えない心地好さを醸し出す。
入ってすぐに陣取ったのは、二階にある窓際の席で、最早この市立図書館では私の定位置となっている席だ。
そこから見える、暮れ泥む街並みの眺めは相変わらず情緒的で、私はうっとりとそれを眺めた。