世界が終わる前に
そんな彼に、罪悪感と少しの嬉しさが混じったような不思議な感情が生まれる。
通い慣れたこの図書館に、今日初めて会った彼と一緒にいる事がすごく変哲で何だかとてもドキドキした。
夕日に染まって煌めく彼の黒髪が眩しくて思わず瞳を細めると、ちょうどこちらに視線を向けた彼とバチッと視線が絡み合った。
慌てて逃げるように視線を下へと逸らしたけど、顔から火が出ちゃうんじゃないかってくらいに、顔に熱が集まってしまってどうしようもなかった。
芯から焼けるように熱さを増した胸が高鳴って、ドクンと音を鳴らす。
しかし一向に進まない英語訳を見て、いけない、と。
左右に頭を振った私は、意識を宿題に集中させた。