世界が終わる前に


『てか……あんたを今回の合コンにって条件、出したの“あの”漆原黒斗なんだよ?』



ふと合コン前に言われた相田さんのそんな言葉が、鮮明に蘇ってきた。


途端に心臓がバクバクと音を立てて早鐘を打ちはじめる。



まさか……まさかこの彼が、私を合コンに参加させた張本人だったなんて。


私を呼びつけるなんて世にも物好きな珍しい男の子が、彼だったなんて。



そう思ったら、くらり、と酷い目眩を起こしそうになって、急に目の前が真っ白になり思考力が恐ろしく衰えた。



「どうした?」



酷く動揺する私を、彼が怪訝そうな瞳で真っ直ぐにジッと見つめてくるから、私は衰えてしまった思考を必死にフル回転させた。



それにしても……こんな事ってあるんだろうか!



正直、目の前の彼が漆原黒斗である事は、私にとってすごく嬉しい事実なのは確かだ。



でも――…



「……ご、ごめんなさい」


「あ?」


< 81 / 202 >

この作品をシェア

pagetop