世界が終わる前に


「そのっ、えっと……」


「どうしたんだよ?」



呆れたような溜め息混じりに吐き出された彼の酷く面倒そうな低い声に、ビクッと肩が震えた。


怪訝さを孕む彼の冷たい冷静な眼差しが、臆病な私を捕える。



……怖いんじゃない。


そうじゃないけど……やっぱり理由を聞くには、それなりの覚悟と勇気がいるから……。



「あ、あぁ……あのっ!」



そう叫ぶように言って視線を上げた私は、意を決して彼の瞳を真っ直ぐに見据えた。



「何だよ?」



声を荒げた私を至って冷静に見つめ返した彼はそう言うと、不快そうに眉を更に中央に寄せる。



でも……ここで怖じ気づいちゃいけない!、と。私は言い聞かせるように臆病な自分を振り切った。



「どう……どうして今日、私を呼んだんです、か……?」



やっとの事で絞り出した私の声は案の定、震えてしまっていて……情けない自分に心底嫌気がさした。


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