世界が終わる前に


しかし、いくらそう思ったところで言葉を取り消す事など出来る筈もなく、



「…――ちょっと待て、つか一旦落ち着け」



私の言葉を遮って、そう言った彼は“タンマ”のジェスチャーをするように片方の掌をこちらに向けた。



「……へ?」


「まず、俺の話を聞け。それから……つーか、あんたさっきから声がデカすぎる。目立つからやめてくれ」


「あ……す、すみませんっ」


「……ったく」



言いながら酷く不機嫌そうに舌打ちをした彼がその表情を、どんどん曇らせていくのがわかって、何だか少し申し訳なく思った。


もしかして……聞いちゃいけなかったんだろうか?


でも、気になるし……。


……どうしよう。




「あ、の……?」


「いや、悪い。……とりあえず座れよ」



そう彼に言われるがまま、再びお互い椅子に座って向き合った。


窓の外には、後数十分で沈む夕日の微かなオレンジと夜空の藍色が混じった綺麗な空が見えた。


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