世界が終わる前に
思わぬ目撃者、噂の真偽
帰宅後。
お兄ちゃんは、私なんか気にする素振り一つせずにあっさりと自分の部屋へ向かった。
まるで先程の図書館での遣り取りが全て嘘であったかのように、私と兄はいとも簡単に他人へと戻った。
これが、私と兄との距離。
それは、未来永劫、決して埋まる事のない距離。
繋がらない世界。
一息吐いて、私も部屋に入る。
汗まみれのセーラー服を脱いで部屋着に着替えながら、今日一日の出来事を色々考えていた。
けれど、一人で夕飯を食べてお風呂に入る頃には、もう考えるのをやめた。
考えたって仕方ない。
忘れるしかない。
どうせすぐに、忘れる。
また、諦める。
何処かそれを自分へ言い聞かせるように、ベッドの中で瞼を閉じた。