世界が終わる前に
次の日。
火曜日の今日は塾がある。
正直、学校へ行くのが、ほんの少し億劫だった。
その原因は……言うまでもなく“相田さんたち”だ。
もう二度と話し掛けては来ないだろう、とは思いつつもまだ僅かに残る不安は拭い去れない。
…――しかし、そんな私の心配は無駄に終わった。
話し掛けられるどころか、視線すら一度たりとも合わないまま、今日一日が終わった。
とんだ取り越し苦労だった。
安心と共に、何処か寂しいなと思ってしまうのは、やっぱり彼の所為なんだろうか。
それから仲の良い子に別れの挨拶を交わすなり、私はいそいそと足早に塾へと向かった。
自宅のある地元から二駅先にある小学生の時から通う進学塾は、灰色のオフィス街に隣接した雑居ビルの二階にある。
駅から明るいネオンの煌めく繁華街を抜け出し、通い慣れた塾までの道を歩いた。