世界が終わる前に
「あの後、二人でどこ行ったの!?ラブラブ放課後デートだったんでしょ!?奈緒ちゃんも彼氏も制服だったもんね!」
すっかり興奮したらしい麻子ちゃんは、全く私の話に聞く耳を持ってくれなかった。
「いや、あの、だから、」
「そういえば、あの奈緒ちゃんのラブラブ彼氏って“瀧川中”の人でしょ!?」
「…――え?」
突如飛び出した麻子ちゃんの意外な言葉に、誤解を解くどころか思わず聞き返してしまった。
「噂通りかっこよかった!まさか奈緒ちゃんのラブラブな彼氏だなんて思わなかったから、あたしつい興奮してしばらく二人尾行しちゃったんだけど……許してくれる?」
「え?いや、あの、」
頭がゴチャゴチャにこんがらがる中、麻子ちゃんのお喋りは止まる気配すらない。
ていうか、尾行って……!
立派な犯罪でしょうが!
「あ、でも途中で見失っちゃったからラブシーンは見てないよ!?」