君と私とときどき君と
道行く人が、変な目でこちらを見る。
しかし、変な目をしたいのはこちらのほうだ。
「なんで、みんな着物なの・・・?」
まるで、明治に入る前の日本みたいだ。
「大河ドラマみたい・・・」
しかしいくら映画村だとて、実瑠以外全員着物だったら、まるで実瑠がおかしいみたいだ。
どうやったらお母さん達のもとへ戻れるかな・・・
「そ、そういえば携帯!携帯があるじゃん!これで最初からお母さんに電話すればよかったんだよ!」
そうだよ、そういう手があったじゃん!とつぶやきながら、プリーツスカートの中に入っていた携帯と取り出し、人目の付かないところで携帯を開く。
着信音は2~3回続き、その後通話状態に入る。
「もしもしお母さ」
「実瑠?!みのるよね?!何処ほっつきあるいてんじゃオラ!余計な心配かけさせやがって!今どこよ!」
「・・・えっとー映画村?」
あたりを見渡してから、実瑠はそうつぶやいた。