透明にんげん。
最近は彼女を見かける度に愛してる、と叫んでは、僕を見てくれ、と呟く。
そんな、ある日。
また彼女を見かけた。
彼女はこちらを見ていた。
あぁ、もう。
素敵すぎるんだよ、君は。
だから、もう見ないでくれよ。
また傷つくだろう。
もう痛いのは嫌だ。
だが、何か、違う。
見ている時間が長い。
期待のし過ぎだろうか。
彼女はこちらへ歩いてきた。
人ごみを掻き分けて。
邪魔にはならないが、すり抜けられるのは嫌だ。
僕は適当な場所に腰掛けた。
そんな僕の目の前に、人影。
誰だ、何をしている。