透明にんげん。
どさっ
倒れた彼女を見て、喚く周りの人間。
そして逃げていく男。
…………嘘、だろ?
もしかしたらこれが、よく聞く『死』なのか?
もしかしたらこれが、僕の求める『死』なのか?
ちょっと待てよ、神様。
連れていくなら僕にしてよ。
なんで彼女なんだ。
なんで僕じゃないんだ。
「……う…ぁ……っ」
彼女はまだ動いていた。
死んで、ない……!!!
よかった。
よかったよかった!
また、目から水がこぼれた。
ぽたっ……
その水は彼女の頬を濡らした。
…………えっ?