透明にんげん。
《こ ん な こ と し て は ず か し く な い の》
ここからだと声が聞こえない。
だが彼女の口はそう動いていた。
恥ずかしい……?
一体なぜだ。
笑ってることの何が恥ずかしいんだ。
わからないのは会話が聞こえないからじゃない。
人じゃないからだ。
悪魔でも僕は透明にんげん。
神様の失敗作。
透明故に人と関われない僕には知識も感情もない。
そして、これからも要らないんだ。
………なのに。
何故だかあの子を見てると何かを感じる。
これが、感情……?
だが、なんの感情だか僕にはわからない。