ちぇりぃ★〜姉と弟の恋模様〜
ただ歩く、それだけが。


オレにとっては気が抜けない。


果夜に車道側を歩かせないとか、無駄吠えする犬を睨んでみたりだとか、無言になり過ぎず、それでいてしゃべり過ぎない…とか。


緊張はしてるんだけど、それが程よくて。


心地いい。


「ねぇ、蒼斗?」


肩を並べて歩く果夜がふと足を止め、オレを見上げる。


「ん?」


「女の子とデートする時って、こんな風なの?」


「デート?」


「そ、デート。さりげない気遣いが慣れてる感じ」


イヤイヤ。


ここは誤解されちゃマズイでしょ。


果夜以外に過去、現在そんな女がいたなんて思われたくない。


「ないし」


「?」


「カノジョとかデートとかした事ないし。あー…、えっと、何つーか…。果夜だからじゃね?気遣わないと危なっかしいっつーか。姉のワリに頼りないっつーか」


「わ、ヒドッ!そんな事言ってるとプレゼント探し、手伝ってあげないんだからっ」


「ハハッ!まぁまぁ、それは冗談で、さ。弟なりのフォローってヤツだよ」


「お・と・う・と…」


前に向き直り、呟くように果夜が言った。
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