ちぇりぃ★〜姉と弟の恋模様〜
「ハイ、OKでーす!!」


それぞれ挨拶を済ませてスタジオから楽屋へ流れていく出演者達だが、オレだけはそこから動けないままだった。


蒔多のサイン。


“こっちへ来い”


「アオイ、楽屋に戻らないの?」


「あ、アタシちょっと…。先、行ってて?」


スタッフの目があるからまだアオイちゃんのままで佑季に告げると、スタジオの隅の蒔多の所へ移動した。


「オス。ア・オ・イちゃん」


「………」


「2時間モノのサスペンスでちょい役で出ててさ。局内にいたから、ちょっと後輩の様子を見に来ただけ」


「…そうですか」


「約束、忘れてねぇよな?」


黙って頷いた。


「テレビで顔も知れたし、善は急げだ。明日、空いてるか?」


「午前中は取材で…」


「なら、午後にケータイ鳴らす。いいか?逃げんなよ」


それだけ言って蒔多はスタジオを出て行った。
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