ちぇりぃ★〜姉と弟の恋模様〜
「メシは芸能人御用達の鮨屋な」


タクシーの中だと誰にも見られないから、オレ払い。


つくづくな男だ。


「食えよ。ここはオレが払うから」


って、言われても。


スクープ狙いの男同士のデートで、食欲なんてわくかよ。


板長に勧められた2~3貫をやっとの思いで流し込み、お茶とガリで間を潰した。


鮨屋を出ると外はもう薄暗く、蒔多はいよいよとばかりにオレの肩を抱く。


またしばらく行き交う人の注目を浴びながら、オレをタクシー乗り場へ連れて行った。


「さて、クライマックスだ」


蒔多はオレの顎を持ち上げ、ネットリとしつこいキスをした。


気持ち悪りぃ…。


ようやく汚い唇から解放されると、蒔多はニヤつきながらオレの髪を触った。


「これで終わりだ。今頃、オレらのネタで事務所ひっくり返ってるぜ。ま、これっきりだ。あとは打ち合わせ通り、知らぬ存ぜぬで通せ。帰れよ」
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