ちぇりぃ★〜姉と弟の恋模様〜
タクシーに押し込まれ、オレはすぐにケータイを開いた。


予想通り、ヤバイ事態に陥っているらしい。


柏木さんからの着信回数で、それがわかる。


28件もの着信と、13件のメール。


バイブを解除し、バッグの中にケータイをしまおうとすると、すぐに着信。


…柏木さんからだ。


「はい、蒼斗です」


『ちょっと!!どういう事!?』


鼓膜が破れるんじゃないかってくらいの大声。


相当おかんむりだ。


『ブログ炎上よッ!!蒔多 充と手繋ぎデート!!』


「はぁ…。一緒にはいましたけど…」


『すぐに事務所の社長室に来てッ!!』


通話が切れると同時に、オレは運転手に方向転換してもらい、事務所へ向かった。


知らぬ存ぜぬ、か。


業界の大人相手にそんな話が通じる程、この世界は甘くない。


わかってはいるが。


今後も《チェリー》を続けるため、守りたい果夜のために、蒔多の言う通りにするしかない。
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