ちぇりぃ★〜姉と弟の恋模様〜
重い足取りで社長室の前。


───トン、トン


「入りなさい」


「失礼します」


部屋には、社長と柏木さんだけしかいない。


素のオレに戻る事にした。


「軽率な行為、すいませんでした」


頭を下げたが、柏木さんの怒りはおさまりそうにない。


「冗談じゃないわよッ!CD出してテレビ出演した翌日に、何て事してくれたのッ!!」


「芸能界について色々と教えてくださるって、蒔多先輩が言うものですから…」


「にしても、場所やタイミングってモンがあるでしょうッ!?」


「まぁ、柏木くん。確かに今回のスクープは少々痛いが、ツイッターとブログ程度だ。週刊誌におさえられなかっただけ良かったよ。それにアオイ、理由あっての事だろ?」


「………」


「売れない元子役俳優にスクープでも頼まれたか?」


「え…。そうなの?アオイ?」


「…知りません」


「おおかたアオイが男だってバレた、ってトコかな。弱味につけ込むなんて、いかにも蒔多のやりそうな事だ。まぁ、今日1日の事は仕方ない。事務所の先輩・後輩のつき合いって事でおさめるしかない。蒔多はお払い箱と言いたいところだが…」


「それは困りますっ!」
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