いつか あの星のように…

2人で話しながら、教室へ向かってたとき──…!ッ

私は一人の男の人に目を奪われた。
風でさらさらとなびく茶色い髪に、吸い込まれるような瞳、白い歯、ほのかに香る彼の香り……
すべてがスローに見えた。
きっと彼は私と同じ学年だろう。
何組だろう──…

「そういえばなつ、好きな人いないの?」
「…」
「なつ……?」
「…」
「な~つ!菜摘さーん!!」
はッ─────!
「あ、はいぃ!?」
やばい、彼が頭の中をぐるぐる回り続けてて愛香の声なんか入ってこなかった。
「はいぃ?じゃなくて、なつ好きな人いないの?」
「あ、えっと…え?好きな人──…好き…な人──…は、いない…かな★……!」
何もなかったかのように笑う。今通り過ぎていった彼は、私の好きな人なんだろうか?
自分でもよく解らなかった。
「いないのかぁ~。まあ私もいないんだけどね。あははは~!♪」
愛香は私の気持ちには気づいていないようだった。

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