キミに捧ぐⅡ




「…私も、好き。」



何回聞いたってその言葉は嬉しくて


それから何分間か抱き合っていた所に至福の時間を割る一本の電話が鳴った



「あ、私の…」


楓のだった

相手は…


「もしもし?……………………後藤さん…」



すごく、穏やかな気持ちでいられたはずなのに、その名前でざわめきが、黒いモノが渦巻いてきて…



何で…


何で、後藤さんが?



俺の腕の中から逃げ出そうとモゾモゾ動く楓をかたく閉じ込める



俺には聞かれたくない?


俺には言えないこと?


たった電話で話してるだけなのに疑問が次々と出てくる




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