白緑蝶"Ice green butterfly
自分が傷つけてしまった
華奢な腕に抱かれながら

自分への怒りに行く場を
無くした、真澄は呟いた。

「ひわ、俺は
 おまえに愛されるような
 人間じゃない
 
 おまえに、合わせる顔が
 ねえ・・・」

俯いたまま、顔をあげない貴方
は私の腕を振り払い、私に背を
向けて歩き出す。

「マスミ、待って
 お願い」

真澄の足が止まる。

「私なら、もう大丈夫だよ

 ほらっ、怪我なんて
 してないから・・・
 
 ねえ、忘れて
 
 私も忘れるから・・・」
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