白緑蝶"Ice green butterfly
花束ができあがる間、彼女は
天使の涙を見つめ、その葉に
そっと触れる。

そして、店内にある赤い鉢を
見つめた。

「あの、陶器鉢
 
 確か・・・?」

そう、空の部屋に飾られた
ポトスの赤い鉢と同じ物が
並べられ、販売されている。

「お客様
 花束、完成しました
 
 いかがですか?」

彼女の瞳に映る、花束は
赤い陶器鉢の事など忘れる
ほど、存在感を放つ。

その花束に見惚れながら
彼女は言う。

「きれい、ありがとう」

彼女は、両腕で花を抱え
この店を出て行った。
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