白緑蝶"Ice green butterfly
消える電気

「ふう」

貴方は、深い息をつく。

閉まるドアに鍵を掛けて
私は傘も持たず、貴方の
元へ駆けて行く。

これ以上ないってくらい
ボロボロの私だけど
いいよね?

雨に濡れたら、一緒だよね?

「ソラ」

駆け寄る私を、その腕に
抱き留めてくれるのは
ソラ。

貴方の頭に被せたタオル。

「こんなに濡れて
 震えてるじゃない?
 
 早く、家に入ろう?」

首を振る、ソラ。

「帰ろう、俺達の家に」

躊躇する、私。

あの家には、天使の涙が
・・・
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