白緑蝶"Ice green butterfly
グラスのお酒を勢いよく
飲み干す瀬名。

唇の端から零れる雫を
手の甲で拭う。
 
「バカ、ちげえよ
 
 顔も性格も、おまえに
 負ける気しねえ

 負けたのは、才能と
 歌ってるおまえ

 ヴォーカル譲ったのが
 そもそも間違え?」

「歌えって言ったのは
 おまえだろうが」

『空

 おまえが歌えよ

 歌ってくれ』

そこへ、お手洗いから
戻って来た卯月が加わる。

「何、何の話?」

卯月は、瀬名の隣に座る。

「何でもねえよ」
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