白緑蝶"Ice green butterfly
視線を逸らすことなく
空をじっと見つめ続ける卯月。

「あの、新人歌手には
 歌えないわよ

 ケイトさんにも無理
 
 この曲を歌えるのは私だけ

 だから、お願い
 あの曲を私にちょうだい」

空は、呆れた顔をする。

「あの曲は、そもそも
 誰かが歌う為に作った曲
 じゃない
 
 歌う必要がない以上
 この曲に、歌い手は
 必要無い」

「そんな、あんなにも
 素敵な曲を、あなた・・・
 埋もれさせるつもりなの
 
 信じられない
 そうは、させない
 
 あの曲はもう、私の手の中に
 ある、あなたが私に渡した
 デモの中に入っていた以上
 あの曲は、もう私の曲だわ」

「何、言ってる?
 
 あの曲は、ユラの曲だ」

ユラ・・・?
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