白緑蝶"Ice green butterfly
「ヒワ、どうしたの?

 いい曲だね?」

咲が、私の耳元で囁いた。

「うん」

「でも、どうして、5年ぶり
 の新曲なのにバラードに
 したんだろうね?」

そうだね、明るい曲の方が
盛り上がっていいのに・・・
どうしてだろう?

曲が半分を過ぎた頃、雨が
降り出した。

ザーーーー

ずっと堪えていた涙のように
雨は止むことなく、どんどん
強さを増す。

全てが、びしょ濡れになる。

歌っているソラも見てる私も
雨に濡れる。

熱く火照った体が一度に冷め
ていくのがわかる。

「ありがとう」

ステージを降りる空の瞳に
雨に濡れるユラの姿が映る。
< 876 / 999 >

この作品をシェア

pagetop