白緑蝶"Ice green butterfly
「服、引っ張らないでね
 
 ヒワ、あっち
 暗い方行こう
 
 ほらっ、急いで」

小雨の中、咲に手を引かれて
帰宅するファンの合間を小走り
で抜けて行くと聞こえる声。

「待って」

綺麗な集団の人達に行く手を
阻まれてしまう。

「アナタ、ソラの彼女?」

その中で一番目立つ女性
がそう言った。

その言葉に、一斉に私を
見つめるファンの視線。

外灯の下、この私を
睨み付ける視線が痛い。

「えっ、違うよ

 あっ、きっと
 服が透けてたから
 貸してくれたんだと思う
  
 これは、後で返し・・・」

「なんだぁ、そっか
 ソラ、優しい」
< 886 / 999 >

この作品をシェア

pagetop