ウルトラスマイルを君に
「う〜ん。なんかあるっていうか。
もう、学校行きたくないな。」
珍しく曇った表情を見せる。
久しぶりに見せた悲しい顔の鈴奈には
いつもの明るい笑顔はなく、今にも泣き出しそうだった。
「今日は、学校、サボるか。」
「え?」
思ってもみなかった修太の言葉に驚いて聞き返す。
「だから、今日は学校行くのやめようかって。行きたくないんだろ?どっか行こうぜ。」
修太自身も自分から出たこの言葉に驚いた。
でも、悲しそうな鈴奈の表情を見ていたら
なんだか自分も悲しくなって、なんとかしてあげたいと思ってしまったのだ。
「うれしいけど、」
口ごもる鈴奈。
「うれしいけど、学校なんてどうでもいいけど、
優斗が。修太と二人きりで遊びに行ったらどう思うかわかんないよ。」
優斗は鈴奈の今の彼氏。
鈴奈と修太の2つ上の先輩で鈴奈にべた惚れ。
だからこそちょっと嫉妬深いが、優しくて鈴奈にはお似合いの彼氏だと思う。
優斗先輩がいるからこそ、修太は鈴奈をあきらめなければならない。
今まで鈴奈は何人か彼氏がいた。
しかしあまり長続きすることはなく、鈴奈が別れる度に修太は次こそ、次こそと思ってはいたが
なかなか告白もできずにまた次の彼氏ができて、また別れて。
その繰り返し。
結局修太は鈴奈のことをあきらめきれないでいた。