ウォルフとワタシ
その双眸は私を映しながら笑っていた。
笑いのカタチを作った唇が更に近づく。
カタチのいい頬には、不敵を絵に描いたようなこの男には似合わない擦り傷がある。
傾くウォルフの顔。
その息使いを感じた瞬間、私たちの唇が重なった。
「――‥」
角度を変えて重ねられる内に、唇が大きく割られる。
ウォルフの柔らかい舌が私のに入ってくる。
そのまま深い場所まで探られて息が苦しくなってくる。
「――‥ん、ウォル、フ‥」
「‥まだ。足りねぇ」
そう言ったウォルフは、私の肩を片手で軽く押し、ベッドに押し倒した。
真上から私を見降ろすウォルフの頬には、もう傷はひとつもついてない。
「やっぱオマエはうまいよなぁー」
ウォルフは意味ありげにニヤニヤしている。
「もう一回オマエ喰いたい」
「――‥ッ!」
ウォルフのニヤニヤの意味が分かった私は真っ赤になる。