彼岸と此岸の狭間にて
「そうですか!?それは?」
「これは明治時代の檀家さんの名簿みたいなものですけど、ここに、ほら、『山中辰巳』と載っているだけです」
「本当ですね!?ところで、『山中英次』さんの遺骨はどなたが?」
「5日程前に近所の『互助会』の方が持って来られて、昨日納骨と墓碑名を入れたとこです」
「そうでしたか!?…色々とお世話になりました」
「いえ、余りお役に立てませんで…また、何かあればおいで下さい」
「ありがとうございます。では、失礼します」
明願寺を出、一息ついて携帯を見る。
(午後4時か!?美紗ちゃんからメールだ)
『こんにちは〜っ。お元気ですか!?大学はどうですか!?また、デートして下さい(キャッ!!)』
(可愛いなあ…本気で付き合うか、って、まだ14歳だぞ!)
香澄の事が頭を過った。あれ以来、全然連絡を取っていない。
(まあ、あいつはあいつで楽しくやっているのだろう!?お嬢様大学だしな…)
葵は青山通りを抜けて原宿の駅に向かって歩いていた。
(あの言葉の意味が気に掛かる!紫馬葵は実在した。だが、俺の家の墓には名前がなかった。
じゃ、どこに行った!?死んだならその痕跡があるはずだし…他の人達はちゃんと墓に入っている。
葵はなぜ入ってない?どこかで野垂れ死に!?あるいは死んでいない…まさか、そんな事はあり得ない!!)
葵は夢でも見ているのかとふと考えた。
(夢か!?夢なら何でもありの世界だから…でも、夢ならどうして俺はここにいる!?)
「これは明治時代の檀家さんの名簿みたいなものですけど、ここに、ほら、『山中辰巳』と載っているだけです」
「本当ですね!?ところで、『山中英次』さんの遺骨はどなたが?」
「5日程前に近所の『互助会』の方が持って来られて、昨日納骨と墓碑名を入れたとこです」
「そうでしたか!?…色々とお世話になりました」
「いえ、余りお役に立てませんで…また、何かあればおいで下さい」
「ありがとうございます。では、失礼します」
明願寺を出、一息ついて携帯を見る。
(午後4時か!?美紗ちゃんからメールだ)
『こんにちは〜っ。お元気ですか!?大学はどうですか!?また、デートして下さい(キャッ!!)』
(可愛いなあ…本気で付き合うか、って、まだ14歳だぞ!)
香澄の事が頭を過った。あれ以来、全然連絡を取っていない。
(まあ、あいつはあいつで楽しくやっているのだろう!?お嬢様大学だしな…)
葵は青山通りを抜けて原宿の駅に向かって歩いていた。
(あの言葉の意味が気に掛かる!紫馬葵は実在した。だが、俺の家の墓には名前がなかった。
じゃ、どこに行った!?死んだならその痕跡があるはずだし…他の人達はちゃんと墓に入っている。
葵はなぜ入ってない?どこかで野垂れ死に!?あるいは死んでいない…まさか、そんな事はあり得ない!!)
葵は夢でも見ているのかとふと考えた。
(夢か!?夢なら何でもありの世界だから…でも、夢ならどうして俺はここにいる!?)