彼岸と此岸の狭間にて
「光太郎か、久しぶりだな!中学卒業以来だから2年振りか…!?」                 
『そのくらいになるかな!?』

「用は何?」                  
『実は、俺、2年程前に心臓が悪いってわかってさ…それで移植しないと後一年も保たないって言われて、移植手術の為にアメリカに行くことになったんだよ』            
「そう言えば、お前、昔から体弱かったものな!?で、いつ行くんだよ?」              
『6月20日の午後5時の飛行機で…それでかなり難しい手術で、成功率が30パーセントと言われているんだ』                     
「えっ、そんなに難しいのかよ!?」                   
『うん。で、どうなるか分からないから一応、葵には連絡入れておこうと思って…』                      
「そうか。じゃあ、俺、見送りに行くわ!」                
『えっ!?でも、平日だよ』

「平気、平気!一日ぐらいふけたって…」                 
『なんか悪いよ』                
「大丈夫だって!6月20日の午後5時。成田ね、オッケー!でも、光太郎、携帯は?」                    
『ペースメーカーが入ってるんで2年前で止めた』             
「それは知らなかった。じゃあ、水曜に…」                
(光太郎も大変だ!)                          
「葵、光太郎君、アメリカ行くの?」                   
「聞いてたなあ…」               
「台所にいれば聞こえるでしょ!」                    
「手術の為にアメリカ行くんだって!」                  
「光太郎君、小さい頃から体弱かったからね!?」             
「それで見送りに行くことにしたよ」
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