Rose of blood
元の世界へ戻りたいかと聞いたら戸惑った顔をする瑠花。


お世話になっているのに、今更帰りたいと素直に言ってもいいのか……そんな風なことを思い、中々帰りたいと言えないのではないかと思った。


瑠花の目はみるみるうちに潤み涙が零れ落ちる。


流れた涙を拭う。


余計帰したくないと思った。


俺は思わず瑠花を抱きしめ、想いを告げてしまった。


言うつもりはなかったのに、泣いている顔をみたら抑えられなかった……自分の気持ちを。


瑠花の腕が背中に回り「私もシエルの傍にいたい」と言ってくれた。


体を離し瑠花にもう一度聞き返す。



『本当に?』



瑠花は涙を溢しながらも愛らしい笑みを浮かべ、微かに頷いた。





< 102 / 534 >

この作品をシェア

pagetop