Rose of blood
辛いはずなのにそんなに優しい顔で笑わないで。



『純血はそんなにやわじゃない。血を飲まなくても大丈夫だよ』

「嘘、つき……ッッ血を飲まなきゃ力が発揮できなくなるし、最悪死ぬ可能性だってあるんでしょ!?」



優しく撫でてくれていた手の動きが止まった。



「どうして何も言ってくれなかったの!?言えば私がシエルから離れていくとでも思ったのッッ!?」



シエルは何も悪くないのにきつい言い方をしてしまう。


人間である私には言いにくかったのかもしれない。


私を心配させたくなくて何も言わなかったのかもしれない。


それなのに自分の不甲斐なさに苛立ちシエルにあたるなんて……最低だ。





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