Rose of blood
「お帰りなさいっ」

『ただいまと言いたいところだが、まだ仕事が残っているからすぐに戻らなければならないんだ』

「そうなんだ……」



仕事だからしょうがないんだけど、寂しさを隠せるほど大人にはなれなかった。



『ごめん』

「シエルは悪くないじゃない!!私こそ子供っぽくてごめんなさい」



左手で私の腰を抱き、右手で顎を持ち上げられた。



『そういうところもひっくるめて瑠花を愛しているんだよ』



シエルと唇が重なり、離れたと思ったら何度も啄むようなキスをされた。


恥ずかしくて本当は俯いてしまいたかった。


でも、この幸せな一時を自ら終わらせたくなかった。






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