Rose of blood
「シエルだってバレたら大騒ぎになっちゃうよっ!?」

『大丈夫だよ』



大丈夫なわけないよ……。


お城の中でも皆あんなにかしこまって接してるのに、見慣れてない民がシエルを見たら腰を抜かしちゃうよ。


軽く返事をしながらも、シエルもその辺の事はちゃんと分かってるとは思う。


それでも一緒に行こうと言ってくれた事が嬉しかった。



「分かった。じゃあ今度連れてってくれるの楽しみにしてるね」

『あぁ』



それはきっと叶わない約束。


果たせないと分かっていながら約束をすることがこんなに辛い事だと思わなかった。


嬉しそうに微笑むシエルを見て酷く胸が痛んだ。


シエル……ごめんなさい……。






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