Rose of blood
「嘘ついてごめんね」

「いいえ、瑠花様なりのお考えがあったのでしょうから謝らないで下さい」

「……ありがとう」



このお城にいる人たちはどうしてこうも優しいんだろう。


その優しさに私は甘えている。



「何故……お帰りにならずにここに留まったのですか?」

「シエルが誰かと幸せになるまで、近くで見守っていたかったから」

「……そうですか」



帰ったところで私の心に居場所はない。


勿論ここにも。


恐らく私の体はそう長くはもたないだろう……。


それならこの命が尽きるまで、愛するシエルのいるこの世界で生きていたい。


私の精一杯の我が儘。






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