Rose of blood
何も言っていないのに私の前に座るジェイド。



「よくここが分かったね」

『他のバンパイアより少し鼻が利くんだ。あの使用人から瑠花の匂いが少ししてね、香りをたどったんだ』

「そう……用件は?」



二度と会わないと思っていたのに、まさかこんなところで会うなんて。


ジェイドの冷たい手が私の頬に触れた。



『嫌がらないの?』

「嫌がる理由がもう無いもの」



もう二度と愛するシエルに触れてもらえないなら、誰に触れられようと関係ない。


それに愛するシエルを捨てたのだから、そんな感情を持つ事など許されない。


それが私にできるせめてもの償い。






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