Rose of blood
『顔を見せてくれないか?』



私は恐る恐る顔を上げ、戸惑いながらもシエルの顔を見た。


とても真剣で強く優しい目をしていた。



「怒って……ないの?私の事、嫌いに……なってないの?」

『怒ってもいないし、嫌いにもなっていないよ。なるはずがないだろう。一人で辛い想いをさせてごめん』



抱きしめてくれたシエルの胸に顔を埋め、ギュッとしがみついた。


涙がどんどん溢れ出てくる。


自分に大丈夫だと言い聞かせ、無理をしていただけだったのかもしれない。


本当は不安に押し潰されそうだったのかもしれない。


私はまだまだ弱い……。





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