Rose of blood
私は泣くだけ泣いて少しボーッとする頭を上げた。



「ごめんなさい……シャツが……」



シエルは可笑しそうに声を漏らして微笑んだ。



『気にしなくていい。一人で抱え込まないで、こうして泣いて感情を表に出してくれた方が俺は嬉しいよ』



シエルのシャツが見事にびしょ濡れになってしまった。


地図みたいな模様ができちゃった……。



『ローズに話しておきたい事があるんだ。辛い話しになるかもしれないが、聞いてくれるかい?』

「聞かせて……辛いのは私だけじゃない。そうでしょう?」

『あぁ……そうだね』



シエルの両手を握りゆっくりと深呼吸をした。


冷静に話を聞くための私なりの心の準備。






< 321 / 534 >

この作品をシェア

pagetop