Rose of blood
私たちは大きな扉の前で足を止めた。


以前迷子になった時に見た扉と同じ。



『開けるよ?』



私は頷き微笑んだ。



当然だが、扉の向こう側にはたくさんのヴァンパイアがいた。


皆こちらを見ているが、以前の様に恐怖や不安などは不思議とない。


私は自分を信じ、皆を信じ、胸を張って堂々としていればいい。


私の覚悟を示したいから。



「何て美しいの……金色の瞳に金色の髪の毛……」

『どこの国の純血の姫だろう』

「ジェイド様の婚約者かしら?」



人間の時よりも耳もよく聞こえる。


この雰囲気だとシエルはまだ公表してないようだ。


私は少しだけホッと胸を撫で下ろした。






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