Rose of blood
お互い食事をする手が止まり、沈黙が流れる。


何度も顔を合わせてはいるが、まともに話をしたのはこれが初めて。


お互い聞きたいことはたくさんある。


だけど何から聞けばいいのかも分からない、という雰囲気だ。



「アイシャ……勝手に助けてしまった事……怒ってるわよね……?」



首を横に振るアイシャ。



「あの時の私は何もかもがどうでもよくて……どうかしてた。助けてくれてありがとう」

「止めてちょうだい……お礼を言われるような事などしてないわ。本は私のせいだもの……」

「もう自分を責めないで。私はあなたを恨んでいないし、むしろ申し訳なく思ってる」

「じゃあ、お互い申し訳なく思うのを止めましょう。そしてまずは食事をして、それから色々話をしましょう」

「……そうだね」



食事をしている間、お互い笑顔は無かったが雰囲気は悪くなかった。


今までの食事の中で一番食事らしかった。






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