Rose of blood
困ったような笑顔で首を横に振るザック。



『お言葉は嬉しいです。でも、僕たちは今まで数え切れないほど残忍で、許されないことをしてきました。そんな僕たちがウェルヴィアに行けば、王室は民から反感を買ってしまいます』

「だけどッッ」

『ローズさんのお陰で、皆温もりと笑うことの素晴らしさを知りました。そんなあなたが選んだシエル様はきっと凄く素晴らしい方だと思います。どうか、シエル様と皆が幸せになれる世界を創って下さい』

「ザック……」



私はいきなりシエルに抱きかかえられ驚いた。



「シエル!?」

『ジオラ殿、ザック殿、ご武運をお祈り致します』

『まさか、シエル王子にその様な激励を頂けるとは……。私からはカインの代わりに謝罪をさせて頂きたい』



カインを抱えたジオラさんとザックが深々と頭を下げる。


私も溢れる涙を拭いながら、シエルに抱きかかえられたまま2人に頭を下げた。


そしてそっとカインの頬に触れた。



「カイン、ありがとう……お休みなさい…………」






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