Rose of blood
「そうですか……。残念です」



アマンダはそう言うと立ち上がりアルファナ卿に背を向けた。



『アマンダ!?』

「賭けをしたんです」

『賭け、だと!?』

「はい……愛する娘はアイシャと私だと言って下されば、何があっても私だけはお父様を信じようと……。でも、そうでなければ……心を鬼にし、この国の法に従おうと……」

『何を馬鹿なことを言っている!!今まで何の不自由もなく生きられたのは誰のお陰だと思っているんだッッ!!』

「勿論お父様とお母様のお陰です。ですが、大切なものと引き換えに得る幸せなど私もアイシャも望んでおりせんッッ!!」



アマンダは涙を流し拳を握り体を震わせている。


そんなアマンダの手を泣きながら取ったのはアイシャだった。


この2人は本当にいい姉妹だ。


アイシャと共に振り返ったアマンダは俺とローズを見て、口を開いた。



「シエル様、どうか父を宜しくお願い致します。全てシエル様、ウェルヴィアの決まりに従う所存でございます」

『刑が決まり次第お2人には直ぐにご連絡致します』

「ありがとうございます」



深々と頭を下げる2人。


そんな様子をアルファナ卿は呆然と見ていた。







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