できちゃった結婚〜もしも俺が赤ちゃんになったら〜
「??…どうした?高崎。」
「……あの……。」
「なんだ?どうしたんだ?」
「……今日、有給休暇をいただいてもよろしいですか?」
「…へ?」
上司の顔がキョトンとしている?
そりゃそうだ。
こんな忙しい決算時期に、しかもヘマしたばっかの俺が有休をくれと言ってるんだ、拍子抜けするに決まってる。
でも、それでもどうしても今すぐ家に帰りたかった。
希に会いたい。
真紘に会いたい。
家族とちゃんと話がしたい。
「しゃあねぇ奴だな(笑)。」
上司はそう笑うと、持っていた書類を掲げた。
「報告書は完璧だ。これなら先方も文句言わないだろう。よく頑張ったな、高崎。家、帰ってゆっくり休め。」
「えっ……いいんですか?!」
「その代わり、週明けはまた忙しいぞ。」
「はい!ありがとうございます!」
上司に初めて褒められたことと、自分の仕事の達成感が溢れるのと同時に笑みまで零れ落ちる。
俺は深々と上司に頭を下げ、足早に事務所を出た。
俺の歩幅と同様に、
ビジネスバックにぶら下がるアップリケが、大きく揺れていた。
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